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アンサングシンデレラ 第7話 医療原案メモ
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    Wikipediaにアンサングシンデレラの項目ができていた。

    うーん、細かくて恐ろしいw

     

    本編ではすでに14話まで進んでいるが、こちらではやっと7話の解説ができるかな。

    ありがたいことに色んな仕事や原稿依頼を受けていて、ちょいと余裕がなくなっていた。

    メインの仕事もそうだけど、いくらかのゆとりをもっていないと、キャパ越えがねー。

    人間、ずっと全力で走れるわけじゃないのだよ。

     

    そんな人もいるのかもしれないけど。

    ---

    さて、ついに院外薬局の薬剤師が出てきたよ。そして、初の1話完結型ではなく、「来月に続く!」タイプ。

    ブログを書くにあたって編集さんとのやり取りを見返してみたが、初回提示のプロットから大幅に変わっている。ファイルのやり取りもそこそこあり、8話ではみどりのパワーポイントも実際に制作した。

    この回、結構頑張ってたなー。

     

    どこが変わったのか、いくつか抜粋してみよう。

     

    まず、患者背景の提示が、

    ---

    患者は日頃から忙しいサラリーマンなど。(忙しい仕事であまり職場で穴を開けたくない。町工場の人とかでも?)
    (勤務時間の都合で、自宅の最寄りか、勤務場所の最寄りの調剤薬局しか寄ることができない状況)

     

    ・30代男性

     

    ・大量の持参薬、残薬バラバラ

    ・一包化の内容が違う、一包化しない薬が一包化されている

    ・食前縛りの薬を食後で調剤

    患者の薬の管理もめちゃくちゃであれば、調剤薬局の薬剤師の仕事も目に余るものであった。

    ---

    ということで、まずここで頭を抱えた。

     

    この患者が入院してきて一悶着起き、院外の薬剤師と揉めつつ最後にはいい話に持っていく、というのが狙いだというのはわかるが、30代男性で、会話がまともにできて、仕事を遅くまでしている人で、大量の薬が処方されている、という状況はどういう病気だろうか。
    大量の薬、という時点で、ある程度年齢がいっている印象がある。また、一包化している時点で、種類が多くて自分では管理しきれていない。

    とりあえず内服が多い疾患、飲み方が複雑なものでパッと思いつくのは、心臓系(循環器)、頭系(神経、てんかん、パーキンソン)、糖尿病、透析あたりだった。その中で、食前縛りの薬があり、一包化もされることが多く、薬がごちゃごちゃになる、という条件に馴染みそうなのは透析だった。透析だったら、遅くまで仕事をしていなくても、

    週3で仕事が終わってから3〜4時間透析クリニック 

    → 終わるの23時 

    → 開いてる(調剤できる)薬局がそこしかない 

    → 薬局の変更提案を嫌がる

    という流れにも対応できる。ひとつ懸念として年齢が若い気がするが、なくはないだろう。

     

    他には、みどりが院外の薬剤師と電話で揉めたあと、瀬野が、「薬局っていうのは、俺たちみたいな対人じゃなくて対物だからなあ」と呟いていたり、

    (m3の記事(門前薬局から、かかりつけ薬局・薬剤師への転換迫る「対物から対人へ」「立地から機能へ」)を参考にしたらしい)

    小野塚はコミュニケーションが苦手だったために調剤薬局を選んだ→いやいや調剤の方がコミュ力必要よ。苦手なら研究か工場がいいよ、とか。プロット時点で色々悩んだ回でもあった。

     

    なんていうか、m3の記事読んで、2015年の記事ではあるけど、薬剤師は対物業務と思われているんだなあ、と思った。

     

     

    ここからはいつもの解説を。

    雑誌掲載時の1コマ目。

    なにか薬の問題を解決した描写を入れたい、と編集指令が。

    錠剤を散剤に変更するとか、患者希望の薬を追加してもらったとか(便秘薬と湿布が多いイメージがあるが、世の薬剤師さんたちいかがか)、軟膏−クリームの変更とか、薬吐き出しちゃって困る認知症老人に対してOD錠に変更するとか(セリフスペース不足)、そんなあたりを考えた。

    で、上のセリフにしたんだけど、ラシックスって錠剤小さいのね。これが飲みづらかったら他の薬なんて飲めないよ。

    てことで、もやもや感が残っていたので単行本では変更した。ぜひ確認してみて。

     

     

     

    面談まで行う病院は手厚いね。非薬剤師がやっている病院もあるかな。

    持参薬に関しては病院薬剤師としても頭の抱えどころ。やろうがやるまいが点数に直結しないため、評価にならないことも。

     

     

    実際にひどい管理の持参薬写真を編集さんと共有した。

    紙袋に入れてみたり、100均の引き出しに入れてみたり、ディズニーのお土産お菓子缶に入れてみたり。

    おくすり手帳や血圧手帳、糖尿病手帳なんかも一緒に入っていることが多いが、クリップとか飴とか小銭とか鰹節とかインスリンの注射針とかが入っていることもあるので、ディスポーザブル手袋をはめて確認することもある。

    そんな持参薬確認業務で印象に残っているものがある。

    娘のノートに血圧を記録していたのか、はじめの数ページに彼氏にあてた手紙みたいな文章が書いてあった。

    ふぉおお。甘じょっぺええ。

     

    次。セリフ考えたところ。

    店員:○○さーん! 電話! 

    ○○:はい?(品出しでもレジでも)

    店員:萬津総合病院だって。うちの患者が入院したみたいですよ。なんだかわからないことがあるって。

     

    ○○:はい、■■ドラッグ、薬剤師の○○です。

    みどり:萬津総合病院薬剤師の葵です。▲▼さんの処方について伺いたいのですが。生年月日は○○年●月●日です。

    ○○:少々お待ちください(パソコンやファイルを見る)

    みどり:おくすり手帳をお持ちでなくて、薬袋と中身も若干違っているようでしたので確認させていただきたいのですが。

    ○○:はい。

    みどり:透析日と非透析日で、ブロプレスの量が違ってますか? まとまって薬袋に入っていて。

    ○○:透析日が8mg、非透析日が4mgで飲んでますね。

    みどり:ありがとうございます。次に、キックリンは通常食直前の薬ですけど、食後にまとめて一包化されてますが、なにか医師の指示がありましたか?

    ○○:さあ……。処方が食後だったので、そのまま調剤していますね。

    みどり:問い合わせはされていないんですか。

    ○○:ここ数か月Do処方(前回と同じ処方、という意味。Dit toから、と)なので、ちょっとよくわかりません。(それに食後に飲んだところで、食直前と効果が変わる薬なんでしょうか。←ってセリフを考えたけど、ない方がよいかも)

    みどり:……わかりました。あと、アダラートCRを半錠に割っていますけど、これ、割ってはいけない薬ですよね。

    ○○:ああ……、今回から減量されてて、在庫がなかったのでとりあえず半分にして渡したんです。医師もそれでいいと。

    みどり:とりあえず、って。医師がいいって言ったから割っていいわけないでしょう。CR錠がどんな薬か知らないんですか。

    ○○:その患者がいつ薬を取りに来るかご存知ですか。夜の11時ですよ。卸が動いてくれるわけないじゃないですか。

    みどり:だからって、あなた、薬剤師でしょう!

    ○○:そうですね。医師には逆らえない薬剤師ですよ。もういいですか。レジ抜けて電話しているので客が捌き切れないんですよ。

    ---(ここまで)

     

    どんな感じで変わっているか是非見てみてね。

     

     

    ガッコの先生なら薬の管理はきちんとしようね! 学校薬剤師に指導されちゃうぞ!

     

     

     

    | とみー(碧) | アンサングシンデレラ | comments(0) | - |
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