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アンサングシンデレラ 第4話 医療原案メモ
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    アンサングシンデレラですが、11月に単行本が出るので、その作業などが行われています。しばしお待ちください。

    そして、普及用にぜひ病院や薬局においてください。お願いします。

     

    さて、5話がとっくに公開されましたが、いつものように1か月遅れで4話の解説など。

     

    今回は、瀬野話でいきたいということで、みどりが豊中に聞きだすという場面から、瀬野の過去話として始まった。

     

    妊婦にロキソニンが処方されるところから物語が始まる。

    Nsaids全般において、妊娠後期は胎児の動脈管閉鎖に影響するとかで禁忌となっている。

    参考:妊娠中はNSAIDs (非ステロイド性抗炎症剤) を用いてはならない (プレスクリール誌)

    新生児の動脈管閉鎖に使うくらいだから、影響あってもおかしくないかな、という感じで覚えている。

     

    今回は、瀬野によってカロナールに変更された。

    が、気になった瀬野がカルテを開いて確認する。

    バックの黒ベタが不安な感じ。

     

    検査値の解説が難しい。

    AST・ALTは、「肝機能の指標の一つ」くらい入れたほうがわかりやすいと思われるが、編集さんの方針でこうなっている。

     

    んで、色々調べ始める瀬野。

    当直中だけど元気ね。寝ないタイプなのかな(本当に仮眠とらない人いる。私は無理)。

     

    次のシーン。

     

    この症状だけ聞いたら片頭痛なんだよね。

    妊婦で起こっている、っていうのがキモで、瀬野が病棟に走る。

     

    ちなみに、ひとり当直だと、めったなことで薬局をカラにすることはない。

    なんの電話が来るかわからないし、いつ看護師が来るかわからないし、そもそも外来処方がいつ飛んでくるかわからない。

     

    病棟についたシーン。

    これ、最終段階で上がってきた原稿で、「気付いてよかったー!」と思ったところ。

     

     

    これ、変なところわかるかな。ネームの段階からずっとだったんだけど。

    病院勤務者ならわかるかも。

     

    部屋番号が204ってありえない。

    しかもその前の処方箋には「3B病棟」と書かれているのに。

    なんとか気づいて部屋番号を3階に変えてもらった。助かったー。

     

    とまあ、画像はこのあたりまでなんだけど、実は、今回、かなりびくびくしていた。

    上のシーンのあとなんだけど、薬剤師の瀬野が診断して、処方している、ととられかねないような内容なんだよね。

    ネーム段階では完全に瀬野の指示で点滴速度を決めたりしていた。そこは薬剤師の領域ではない。

    で、これちょっとまずいですよー、って編集さんとやりとりがはじまったんだけど、プロット見返したら完全に自分のせいだった。瀬野に点滴速度を指示させていた犯人は私だった。荒井さん申し訳なかった。

     

    以下が実際に行っていたやり取りの一部で、私が書いた原稿(原文ママ)。

    ---

    (注射室からマグセントを一箱掴み、階段を駆け上がる)

    瀬野:おい、上級医はまだか。

    看護師:なんかあったんですか。片頭痛じゃないんですか?

    (研修医戻ってくる)

    研修医:血圧、170/100でした。でもこの人、妊娠高血圧もあるから、普段も160の90とかですよ。

    瀬野:おそらくヘルプじゃないか? 

    研修医:ヘルプ? 

    (研修医が理解していない中、看護師はハッとした顔つきになる)

    瀬野:HELLP症候群だ。上級医呼んだのか?

    研修医:○○先生電話したけど、そもそも俺の専門は化学療法だから妊婦よくわからない、片頭痛なんて薬効かないのしょうがないから適当にやっとけって……。

    瀬野:もう1回電話しろ! HELLP症候群から子癇が始まってると思われる。子癇だったらカイザー(帝王切開)だぞ! 研修医一人で出来るのか? 

    (看護師に向けて)マグセント流すぞ。40mlを20分だ。120速(120ml/hr)!

    看護師:オッケー! 

    瀬野:終わったらオペ室に運ぶぞ。(研修医に向けて)お前はオペの準備しとけ!

    ---

     

    マグセントの指示どころか、オペ室まで運んじゃってるね。やりすぎだよ瀬野さん(汁)

    最終的にああいう物語ができたものの、薬剤師としてここまでやっていいのか、という思いが残った一話になった。

    緊急だったら心マしたりエピペン打ったりするけどね。

     

    ちなみに、実際に子癇を経験した患者に聞くと、頭痛や吐き気で意識が遠のいているうちに訳も分からずすべてが終わっていた(帝王切開が終わっていた)、と。

     

    婦人科病棟を担当すると、本当に出産のリスクを感じるし、女性すごいと思う。

    ここを読んでる薬剤師の人、特に男性に。自分は男だから、と敬遠しないで、機会があったら婦人科病棟担当するといいよ。

     

    それでは今回はこのあたりで。

     

    | とみー(碧) | アンサングシンデレラ | comments(1) | - |
    Comment
    2018/11/25 1:07 PM posted by: PhA
    薬剤師が処方するというのも病院薬剤師ならPBPMを活用すれば一応可能なのではないかな…と思います。
    まぁ医師に理解がない場合このシステム自体導入されないと思いますが…。
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