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余命10年 / 小坂 流加
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    「なりたくてなったんじゃない、って、わかるよ。凡人だけどね」

     

    タイトルを見て、作者プロフィールで、静岡県出身、本書の刊行を待つことなく逝去、とあって中を開いて、読みやすそうなので購入した。

     

    数か月単位での余命すら言い当てることができないのに、「余命10年」というのがそもそもリアルでなさすぎるし、病名もあいまいだ。ただ、「君の膵臓」のときと違って、作者が抱えているものがあったようなので、少しでも響くものがあるかな、と手に取ってみた。

     

    後半はかなり引き込まれてしまった。
    病院で働いていて、死を見ているものとして、人が死ぬ話はどこかリアルに欠けていて興覚めしてしまうが、これは、人生を区切られた立場からの叫びや葛藤が感じられた。区切られたからこそ、いろいろ考えて、力いっぱい進めることもあるし、捨てなきゃいけないものもある。
    お勧めかと聞かれると難しいところだが、医療系の人間は読んでみてもいいかもしれない。

     

    語り手の茉莉が「この病気で10年以上生きた人はいない」という宣告をされつつ、自分と同じ病気で死ぬ人を見るところから話が始まって、10年後プラスまでが書かれている。
    途中、視点人物(主語)がぱらぱら変わる部分があって混乱した。
    あとはそれほど気にならず一気読みできた。

    (2017-19)
     

    | とみー(碧) | 読書 | comments(0) | - |
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